温泉とは
温泉の効能
泉質と適応症
温泉の入浴法
●飲泉

 

 

温泉とは・・・・・

 温泉法(昭和23年制定)によれば,「温泉とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で,下に掲げる温度又は物質を有するものをいう。」と定義される。
 つまり,25度以上であれば,ただのお湯であっても温泉だし,下の表の物質19種類の内,1つでも含有していれば温泉と言うことになる。驚くほど緩やかな「温泉法」の定義と言えよう。

1.温度(温泉源から採取されるときの温度とする。):摂氏25度以上
2.物質(下に掲げるもののうち、いづれか一つ)
物       質       名 含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く) 総量:1000mg以上
遊離炭酸(CO2) 250mg以上
リチウムイオン(Li+ 1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+ 10mg以上
バリウムイオン(Ba2+ 5mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+ 10mg以上
第1マンガンイオン(Mn2+ 10mg以上
水素イオン(H+ 1mg以上
臭素イオン(Br- 5mg以上
沃素イオン(I- 1mg以上
ふっ素イオン(F- 2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO42- 1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HAsO2) 1mg
総硫黄(S)[HS- + S2O32- + H2Sに対応するもの] 1mg以上
メタほう酸(HBO2) 5mg以上
メタけい酸(H2SiO3) 50mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3) 340mg以上
ラドン(Rn) 20×10-10キュリー単位以上
ラヂウム塩(Raとして) 10-8mg以上

温泉の効能・・・・・

 温泉の効能は,次に掲げる作用が単独に,あるいは相乗に作用して人体に影響を与えるとされる。但し,この効能は即効性があるものではなく,ある程度の日数を続けて入浴する必要がある。湯治は,「1週間で湯疲れが出て,2週間で効果が出る」と言われ,療養目的で出かけるなら, 少なくとも2週間の滞在が必要であり,即効性は期待出来ないと考えるべきである。長期休暇が例外である日本の働き盛り世代では,とてもとても・・・。
 温泉の効能・効果は、ひとつひとつの作用よりも,さまざまな作用が補完しあった総合的な作用によるところが大きいと考えられている。

化学的作用 温泉に含まれる化学成分が,皮膚に付着・皮膚から吸収・ガス成分が肺から吸収・飲用により体内に吸収されることにより生じる作用。泉質によって異なり,詳しくは泉質と適応症を参照。
温熱作用

温泉の熱による作用。
高温(42度以上)の熱い湯は,新陳代謝を活発にさせる。但し,高齢者や血圧の高い人は注意を要する。
微温(36〜38度)の体温に近い温めの湯は,神経等を沈静化し,ゆったりとした気分にさせる。

水圧・浮力の物理的作用 水の抵抗のある水中での運動は効果的であり,水圧により心臓の働きが良くなる。
精神的作用 美しい景観などを見ること,日常から離れることによる開放感・リラックスによる作用。

泉質と適応症・・・・・

 泉質名については,以前は,石膏泉・芒硝泉・緑礬泉どと表示していたが,昭和54年以降,化学成分をそのまま記す温泉名に変わっている。伝統ある旅館などでは,まだまだ古い泉質名を使っているところが残っている。そちらの方が味わい深いと感じるのだが。

 適応症と禁忌症については,泉質によって異なるが,温泉(浴用)における一般的なものについては次の通り。

一般的適応症 神経痛,筋肉痛,関節痛,五十肩,運動麻痺,関節のこわばり,うちみ,くじき,慢性消化器病,痔疾,冷え症,病後回復期,疲労回復,健康増進
一般的禁忌症 急性疾患(特に熱のある場合),活動性の結核,悪性腫瘍,重い心臓病,呼吸不全,腎不全,出血性疾患,高度の貧血,その他一般に病勢進行中の疾患,妊娠中(とくに初期と末期)

1.塩類泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g以上含まれるもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
塩化物泉
(食塩泉)
塩素イオンが主成分。陽イオンの主成分がナトリウムイオンなら,ナトリウム-塩化物泉(食塩泉)とされる。
塩分が皮膚からの汗の蒸発を防ぐことから,保温効果が高く,神経痛,リウマチ,冷え性、手足のしびれなどに良い。
「熱の湯」などと呼ばれることが多い。
静岡県熱海温泉など,日本全国に数多く存在する。
きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病 慢性消化器病(胃腸病,肝臓病)・慢性便秘   肝臓病・高血圧症・その他一般にむくみのあるもの,甲状腺機能亢進症のときはヨウ素を含む温泉を禁忌
炭酸水素塩泉
(重炭酸土類泉・重曹泉)
陰イオンの主成分が炭酸水素イオン。陽イオンの主成分がナトリウムイオンでなら,ナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)とされる。
皮膚の脂肪や分泌物を清浄化するため,肌が滑らかになり,「美人の湯」と呼ばれることが多い。
飲用すると,沈静作用がある。
長野県小谷温泉,和歌山県川湯温泉など。
きりきず・やけど・慢性皮膚病 慢性消化器病(慢性胃炎、肥満)・糖尿病・痛風・肝臓病(胆石)   ナトリウム−炭酸水素塩泉は塩化物泉に準ずる
硫酸塩泉
(芒硝泉・石膏泉・正苦味泉)
陰イオンの主成分が硫酸イオン。陽イオンの主成分がナトリウムなら,ナトリウム-硫酸塩泉(芒硝泉),カルシウムなら,カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)とされる。マグネシウムなら,マグネシウム-硫酸塩泉(正苦味泉)とされる。
きりきず・やけどに効果があるとされるため,「きずの湯」などと呼ばれることが多い。
効能として,特には...
(芒硝泉):飲用すると胆道疾患(胆汁の分泌促進)、慢性便秘、肥満症
(石膏泉):-慢性関節リウマチや打ち身(鎮静作用)
(正苦味泉):-高血圧
群馬県法師温泉など。
動脈硬化症・きりきず・やけど・慢性皮膚病 慢性胆嚢炎・胆石症・慢性便秘・肥満症・糖尿病・痛風   下痢のとき,ナトリウム-硫酸塩泉は同上

2.単純温泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g未満で,泉温が25度以上のもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
単純温泉 特にpH8.5以上の単純温泉をアルカリ性単純泉(又はアルカリ性単純温泉)とされる。
含有成分が薄い分,身体への刺激が少ない。そのため禁忌症も少なく,肌の弱い人や高齢者等に向いている。
日本全国に見られる泉質である。
       

3.特殊成分を含む療養泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g未満で,泉温が25度以上のもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

含鉄泉
(鉄泉・炭酸鉄泉・緑礬泉)
総鉄イオン(Fe2++Fe3+)が温泉水1Kg中に20mg以上含まれる温泉。湧出直後は無色透明で,時間の経過とともに酸化して茶かっ色に変化する。
保温効果が高く,リウマチ,更年期障害,貧血症に良い。
兵庫県有馬温泉など。
月経障害 貧血    
含銅-鉄泉   同上 同上    
硫黄泉 総硫黄が温泉水1Kg中に2mg以上含まれる温泉。硫黄が主として遊離硫化水素の型で含まれるもの(硫化水素泉)と含まれないもの(硫黄泉)に区別される。
卵の腐ったような特有の臭いは,硫化水素の臭いであり,酸化されると黄白色のイオウの沈殿を生ずる。刺激が強いことがあるので,肌が弱い人や高齢者等は注意。
細小動脈や毛細血管を拡張する。効能は高い。
栃木県日光湯本温泉,神奈川県小涌谷温泉など。
慢性皮膚病・慢性婦人病・きりきず・糖尿病
(硫化水素型)
・高血圧症・動脈硬化症
糖尿病・痛風・便秘 皮膚、粘膜の過敏な人,光線過敏症の人
(硫化水素型)
・高齢者の皮膚乾燥症
下痢のとき
酸性泉
(単純酸性泉)
水素イオンが温泉水1Kg中に1mg以上含まれる温泉。外国の温泉には少ないが,日本では多く,強い酸性を示す。
殺菌効果があり,婦人病,皮膚疾患,慢性関節炎に良い。
群馬県草津温泉など。
慢性皮膚病 慢性消化器病 同上  
含アルミニウム泉
(含明礬泉・含緑礬泉)
温泉水1kg中に含有成分が1g以上で、陰イオンとして硫酸イオン,陽イオンとしてアルミニウムを主成分とする温泉。
群馬県万座温泉など。
同上 同上    
放射能泉 温泉水1Kg中にラドンを20(百億分の1キュリー単位)以上含有している温泉。痛風、排尿を促進(尿道炎、糖尿病)
鳥取県三朝温泉など。
痛風・動脈硬化症・高血圧症・慢性胆嚢炎・胆石症・慢性皮膚病・慢性婦人病 痛風・慢性消化器病・慢性胆嚢炎・胆石症・神経痛・筋肉痛・関節痛    

温泉の入浴法・・・・・

●入浴前に

・長旅などで身体が疲れているときは,少し休息してから温泉に入ること。
・入浴には,かなりのエネルギーを要するので,空腹時を避けること。
・入浴時に血液が皮膚の部分に集中し,消化に必要な血液が胃に回らなくなるので,満腹時を避けること。
・飲酒時も思わぬ事故を起こすことがあるので避けること。
・掛け湯を充分してから入浴すること。
・もちろん,マナーとしてアソコはちゃんと流してから入ること。

●入浴回数と時間

・入浴回数は健康な人で1日3回まで,高齢者など身体の弱い人は2回までとすること。
・入浴時間は,熱めのお湯で10分程度,ぬるいお湯で30分以内を目安とすること。
 (動脈硬化症,高血圧,心臓病の人は42度以上のお湯・サウナは避けること)
・療養を目的とする必要期間は,2〜3週間程度で,最初の数日の入浴回数は1日1回,その後は1日2〜3回とすること。
・温泉療養して数日後に「湯あたり」になったら,入浴回数を中止若しくは減らして,回復を待つこと。

●入浴後に

・入浴後は,身体についた温泉(成分)を水で流さずに,タオル等で押さえる程度にすること。
 (但し,湯ただれを起こしやすい人を除く)
・入浴後,湯冷めに注意して30〜60分程度の休息をとること。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
全身浴 全身を温泉にひたらせる方法
半座位浴 比較的深い浴槽に半座位(中腰)または座位で入浴する方法です。入浴温度の差により次の4つに分類されます。
 入浴方法の中で一番水圧がかかるので、心臓に疾患がある人は深い浴槽への入浴は注意が必要です。
 
  高温浴 高温の温泉(43℃以上)に短時間入浴する方法です。群馬県・草津温泉の「時間湯」が有名です。
          高血圧症や心臓疾患の人は特に注意が必要です。
  温  浴 41℃前後の中温の温泉に入浴する最もポピュラーな入浴方法で、ほとんどの旅館や公衆浴場などの温泉利用施          設で採用されています。
          物理的作用を併用することによって、さらに「圧注浴」「過流浴」「泡沫浴」「波浪浴」などに分けられます。          これらの方法にはマッサージ効果等があり、神経痛・腰痛などに効果があります。
  微温浴 比較的低温の温泉(36〜38℃程度)に長時間入浴する方法です。「持続浴」とも呼ばれ、新潟県・栃尾又温泉な          どで見られます。高血圧症や動脈硬化症などに効果があります。
  寒冷浴 7〜20℃の低温の温泉に入浴する方法で、大分県・寒の地獄温泉などで見られます。神経症などに効果がありま          す。循環器に疾患のある人は注意が必要です。
寝湯 37℃前後の比較的低温の浅い浴槽に横たわって長時間(20〜30分)入浴する方法です。リラックスすることができ、精神疲労や不眠症、高血圧症や動脈 硬化症などに効果があります。
        
         
         
部分浴 部分浴は、身体の一部分を温泉にひたらせる、または浴びる方法
かぶり湯
 
頭部や首すじに温泉をかける方法です。入浴初期の血圧上昇の防止や脳貧血予防に効果があります。      
打たせ湯
 
滝の湯とも呼ばれ、滝のように落下する温泉で、肩・首すじ・腰などを打せる方法です。筋肉のこわばりを和らげ、肩こり・腰痛などに効果があります。      
腰湯・足浴
 
腰下または足の部分だけを温泉にひたらせる方法です。入浴部分の血流を改善し、冷え症・下肢の血液循環不全に効果があります。全身浴に比べ体力の弱っている人でも可能な入浴方法です。      
鯨噴浴
 x
腰下または足の部分だけを温泉にひたらせる方法です。入浴部分の血流を改善し、冷え症・下肢の血液循環不全に効果があります。全身浴に比べ体力の弱っている人でも可能な入浴方法です。      
歩行浴
 
膝下までの深さの温泉の中を素足で歩く方法です。温泉部分浴と運動療法の併用で、自律神経失調症・冷え症などに効果があります。      
         
         
         
         
その他 泥湯 温泉に鉱泥・泥炭など天然の泥を加えたものに入浴する方法です。全身浴と部分浴があり、大分県・別府温泉郷の泥湯などが有名です。慢性関節リウマチ・痛風・骨折・捻挫などに効果
砂湯 海岸や川岸の砂に身体を埋め、湧出する温泉に入浴する方法です。一般の温泉全身浴に砂の圧力が加わるため、新陳代謝を高め発汗を促進します。鹿児 島県・指宿温泉の「砂蒸し」などが有名です。運動器疾患・神経痛などに効 果があります。
蒸気浴 温泉の蒸気を利用した入浴法
  温泉蒸気函浴 温泉の蒸気が噴き出す箱の中に首だけを出して入り、全身を蒸す方法です。
               秋田県・後生掛温泉などで見られます。肥満症・神経痛・疲労回復などに効果があります。
  温泉蒸気室浴 温泉の蒸気で満たされた蒸気室に入り全身を蒸す方法で、温泉蒸気の吸入が可能です。
                                 蒸し小屋や洞窟を利用している温泉地もあります。
                                 岩手県・夏油温泉、群馬県・四万温泉などで見られます。温泉蒸気函浴と同様の効果があります。 
  痔むし 温泉の蒸気を床面から上向きに噴出させて患部を蒸す方法です。に効果があります。
温泉熱気浴
 
温泉の熱で地面が熱くなった場所に横たわる方法です。秋田県・玉川温泉の「岩盤浴」、秋田県・後生掛温泉の「オンドル」が有名です。腰痛・神経痛などに効果があります。
温泉運動浴
 
温泉プールのように温泉の中で運動を行う方法です。温泉全身浴の効果と運動効果が同時に得られます。

 

 

 

蒸し湯 蒸し湯」噴出する蒸気と熱で発汗を促し、血行をよくします。
浴室に蒸気を引き込む蒸し風呂(サウナ風呂)のほか、箱蒸し、オンドル方式など。
砂岩も蒸し湯の 一種です。湯につかるのに比べ、疲労感や血圧の上昇が
少なくてすみます。

噴き出す温泉蒸気で体を蒸す入浴法で、新陳代謝が激しくなり発汗により疲労回復を促進する

須川温泉(岩手)・夏油温泉(岩手)・後生掛温泉(秋田)・鉄輪温泉(大分)
打たせ湯
(あんま湯)
(滝の湯)
○「うたせ湯」高いところから落下する温泉に、肩など患部を当てて 療養ずる。湯滝とも呼ばれています。あらかじめ湯につかって体を温めてお くのがポイントです。

温泉を小さな滝にして体に打たせる圧注療法、時間は5分から15分位、事後は充分に休養をとる、リューマチや神経痛に効果的な入浴療法、別名あんま湯、滝の湯

※最近、殆どの温泉地にある
砂湯 砂浜を掘ると湯が湧いてくるので、そこに横たわり体に砂をかける、砂の圧力や発汗作用による温熱刺激する療法で、海辺の紫外線や清浄な空気などとあいまって、肥満症やリューマチ、神経痛、胃腸病、痔などに効くといわれる
指宿温泉(鹿児島)・別府温泉(大分)・白子温泉(千葉)
時間湯
(かぞえ湯)
群馬の草津温泉で行われている独特な入浴法で、酸度の強い湯を扁平な長い板でかき回し(湯もみ)、そしてその湯をかぶり、湯長の合図で三分間だけ入浴する、強い酸度の高温な湯が皮膚刺激を与え、湯ただれを起こす、その変調作用を利用して難治の皮膚病や神経痛、リューマチを治そうというもの、約1ヶ月程で完治、昔はその後、湯のやわらかい沢渡温泉川原湯温泉へ行き「湯なおし」を行った
草津温泉(群馬)
かぶり湯 熱い湯に入る前はまず頭や首から湯をかぶる、そうする事により体温を徐々に高め、皮膚の毛細血管がゆっくり拡張し、その結果肝臓や関節の血行がよくなり、脳卒中の予防になる。頭に手ぬぐいをのせ、ひしゃくで湯をかぶりながら「湯かむり唄」を歌う奇習の残る温泉もある ※頭に手ぬぐいをのせ風呂に入るのは、湯のぼせ防止にもなり、効果的な入浴方法である
岩井温泉(鳥取)
痔風呂 穴から噴き出る温泉蒸気を患部にあてて痔を治そうという局部的蒸気浴療法
瀬見温泉の共同ふかし湯というのがあったが現在はなくなっているらしい
酸ヶ湯温泉(青森)「まんじゅうふかし」・須川温泉(岩手)「蒸し小屋」や尻焼温泉(群馬)川湯温泉(和歌山)「露天風呂」
持続湯
(夜詰めの湯)
34〜38度ぐらいの低温の湯に長時間入ることにより神経を鎮め血圧を下げようという入浴法で、温泉の有効成分も体内によく吸収される
 
治療泥 ○【泥湯】鉱泥の湯に全身をひたすものと、温泉成分を含む泥や沈殿物を温泉で 溶いて患部にぬる「部分浴」があります。

温泉湧出地の泥や沈殿物、火山灰、海底や湖底の泥、泥火山泥、湯の華などが微細な粒子の状態になった治療泥(ペロイド)が溶けた温泉に入る入浴法で、泥浴から出たあと微温のシャワーで泥を洗い落とし、毛布に包まって一時間ほど横になって発汗させるともろもろの痛みがかなりやわらぐ

別府温泉(大分)
合わせ湯 一つの湯だけではなく、近くの他の湯にも入るという入浴法で、草津温泉の時間湯の後、川原湯温泉湯の平温泉蔵王温泉那須湯本温泉などの合わせ湯があった
 
うがい・吸入
・洗浄
殺菌力のある温泉でうがいしたり吸入する温泉療法で、洗浄(灌注)とは膣洗浄のことで、子宮周囲炎、膣炎、卵巣機能不全症などに効力があるとされる

○【圧注浴】 浴槽内に噴き出した水流に患部を当てる。効果は打たせ湯と同じです。 温度や水流の強さ、ノズルからの距離で圧力を調整』’ジエットバス。 ともいいます。

○【泡沫浴】ジャグジー、泡風呂とも呼ばれます。多数の泡を浴槽内に
発生させるもので、湯のマッサージ効果と気泡が体にぶつかって発生する
超音波で体が芯から温まります。

大浴場  深い所は全身浴に腰掛け(階段)のある所は部分浴に使用します。
 
部分浴は水圧の影響が少ないため、高血圧等に効果があると言われています。
打たせ湯  上から落ちてくるお湯を直接、腰及び肩等の痛い場所へ当てる入浴方で日本だけの入浴方法と言われています。
寝湯  寝湯は通常常、体温と同じくらいのぬるめのお湯になっています。
 この、お湯に仰向けになり、長時間入る入浴方がベストであり、不眠症精神疲労等に効果あると言われています。
超音波風呂  超音波風呂は通常超音波発生装置により空気混じってお湯に噴出するので体が芯から暖まり、血行をよくするため、腰痛や筋肉痛に効果があると言われています。
サウナ  サウナは入る前に体の水気を拭き取ってから入ることが常識となっています。
 はじめに7分入り低温風呂で体を冷やし、次に5分入り低温風呂で体を冷やし、3回目に3分入り低温風呂で体を冷やすと言う方法がベターだと言う話もあります。
 ただし、心臓の悪い方や血圧の高い方はサウナは不向きです。
低温風呂  低温風呂はサウナで体にこもった熱をさます時に入るお風呂です。
 この風呂もサウナ同様に心臓の悪い方等には不向きです。
ミストサウナ  ミストサウナはサウナと同様の入り方で良いと思われます。
 ただし、同じ高温(50度程度の低音もあります)ですが、霧状にお湯が降り注いでいるため、息苦しいことが無いのが最大のメリットと言えます。

※飲用するとき注意したいこと

■一般的注意事項

■飲泉の用法

■飲用の用量

 

飲泉の方法

 飲泉をすると、温泉が胃腸や肝臓などの局所的に作用する効果と、入浴と同じように全身に作用する効果があることが温泉医学の研究で明らかになっています。

 しかし、いくら飲泉が身体に良いといっても、闇雲に温泉を飲めばいいというものではありません。例えば、腎臓に疾患のある人は塩化物泉を飲んではいけないというように、症状によっては飲泉を行ってはいけないものもあります。泉質などを考慮した上で、適切な温泉を適切な方法で適切な量だけ飲用することが必要になってきます。

一般的な飲泉の方法として、一定量の温泉を毎日同時刻に飲むことが定石とされているようです。


ヨーロッパにおける飲泉と飲泉カップ

 ヨーロッパ諸国の温泉地では、温泉医の処方によって飲泉が行われているのが通常です。飲泉所の新鮮な温泉を温泉医に処方された量だけ飲泉するのです。飲泉をするための容器は「飲泉カップ」と呼ばれ、これに温泉を汲んでクアパークと呼ばれる保養公園をゆっくり散歩しながら、少しずつ温泉を飲んでいきます。

 飲泉カップは温泉地によって特徴があります。材質が陶磁器製やガラス製などがあり、最近ではプラスチック製のものもあるようです。形も様々で、単なるガラスのコップのようなものから、陶磁器製の洒落たデザインのものや携帯して散策しやすいように取っ手がついているのもあります。特に、チェコのカルロビバリの陶磁器の飲泉カップなどは、歴史的にも有名です。

 日本の温泉地でも飲泉カップは各地で作成されています。また、日本では柄杓などで飲泉をするケースも多く見受けられるようです。

日本における飲泉
 わが国における飲泉の歴史は古く、持統天皇の御代に飲泉によって多くの病者を治療したという記述が日本書紀に書かれています。しかし、それ以降徳川時代中期に至るまで飲泉についての記述のある文献は殆ど見あたらないようです。

 徳川時代中期以降では、わが国における温泉医学の原点と言われている「一本堂薬選續」(1738年)をはじめ、いくつかの文献に温泉飲用についての効果や注意事項が記載されているようです。また、明治時代になると、わが国の温泉医学の父と言われるドイツ人医師ベルツの指導によって群馬県・伊香保温泉などで飲泉が開始され、明治13年に発行されたベルツ著「日本鉱泉論」には、飲泉の適応症や飲泉量、飲泉施設などについて詳細な記述があります。この書はわが国の近代温泉医学の原点とも言われています。

 以上のことから、わが国において飲泉は経験的に古代から実施され、少なくとも徳川時代中期には医学的な見地から飲泉が実施されてきたことが分かります。

 つづいて、現在のわが国における飲泉の現状についてまとめてみましょう。
 現在、日本では各都道府県の判断で温泉の飲用許可を出すことになっています。この飲用許可を得てはじめて飲泉が可能になるわけです。
 ただ、前述のヨーロッパの温泉地のように一人一人にたいして適切な飲泉の指導を温泉療法医の元で実施している施設は、わが国では殆ど無いのが現状です。日本では、環境庁が飲泉についての利用基準を定め、飲泉についての注意事項を発表しています。この注意事項によって日本での飲泉の方法が定められていることになります。

 

★温泉の種類 (さまざまな温泉の形) ●浴用の温泉は単に湯がたたえられている形のものばかりではない。 ケアハウスに多いものも含め、代表的な形態と効果、利用するポイント などを紹介します。 ○「うたせ湯」高いところから落下する温泉に、肩など患部を当てて 療養ずる。湯滝とも呼ばれています。あらかじめ湯につかって体を温めてお くのがポイントです。 ○「蒸し湯」噴出する蒸気と熱で発汗を促し、血行をよくします。 浴室に蒸気を引き込む蒸し風呂(サウナ風呂)のほか、箱蒸し、オンドル方式など。 砂岩も蒸し湯の 一種です。湯につかるのに比べ、疲労感や血圧の上昇が 少なくてすみます。 ○【泥湯】鉱泥の湯に全身をひたすものと、温泉成分を含む泥や沈殿物を温泉で 溶いて患部にぬる「部分浴」があります。 ○【圧注浴】 浴槽内に噴き出した水流に患部を当てる。効果は打たせ湯と同じです。 温度や水流の強さ、ノズルからの距離で圧力を調整』’ジエットバス。 ともいいます。 ○【泡沫浴】ジャグジー、泡風呂とも呼ばれます。多数の泡を浴槽内に 発生させるもので、湯のマッサージ効果と気泡が体にぶつかって発生する 超音波で体が芯から温まります。

  これらの歴史的文献に基づいて、「伊予の湯」=愛媛県・道後温泉、「牟婁の湯」=和歌山県・白浜温泉、「有間の湯」=兵庫県・有馬温泉が「日本三古湯」と呼ばれているようです。
  また、「出雲国風土記」にも温泉の記述が見られ、島根県・玉造温泉も古い歴史を持っていることが伺えます。
  このように、我が国では古代から温泉が利用されていたことが分かります。

   平安時代に編纂された「万葉集」にも多くの温泉地が登場します。神奈川県・湯河原温泉や長野県・上山田温泉など、東国の地域の温泉も利用されていることが明らかになっています。

  和歌山県・湯峰温泉は、熊野詣での際に立ち寄り、温泉に浸かると共に温泉で炊いたお粥を食べて身体の内外から身を清めて参拝したと伝えられています。


  太古の時代は、火をおこして水を温めてお湯を沸かすことは大変なことでした。何も手を加えることなく、あたたかい湯が自然に沸き出してくる温泉は、昔の人々にとって非常にありがたく貴重なものであったと思われます。

  さらに、温泉には様々な成分が含まれていて、入浴すると病気が良くなったりしたことから、非常に神聖なものとして崇められていたと言うことが出来ると思われます。

  世界的に見ますと、古代ギリシャやローマ時代にも温泉が利用されていたことを伺わうことができます。特に古代ローマ人の風呂好きは有名で、「ローマ風呂」と称される浴槽の遺跡が数多く残されています。

  いずれにしても、温泉は人類の歴史以前から湧いていたものであり、古代人はすでに温泉を利用していたということが分かります。

 

★日本の泉質別源泉数

★日本の泉質別源泉数
泉質        源泉数       %
食塩泉       2018    29.
単純温泉     2095    30.1
いおう泉      947    13.6
正苦味泉      11     0.1
重そう泉     331     4.8
放射能泉     364     5.2
せっこう泉    212     3.0
ぼう硝泉     209     3.0
重そう食塩泉   205     2.9
食塩ぼう硝泉   143     2.1
老の他      425     6.2
計       6966   100.

★温泉の質と温泉源数 泉質 源泉数 % 食塩泉 2018 29 単純温泉 2095 30.1 いおう泉 947 13.6 正苦味泉 11 0.1 重そう泉 331 4.8 放射能泉 364 5.2 せっこう泉 212 3 ぼう硝泉 209 3 重そう食塩泉 205 2.9 食塩ぼう硝泉 143 2.1 その他 425 6.2 計 6966 100 (1964年末厚生省調べ)

●温泉の入り方

温泉の入り方にも一応ルールがありますので記載します。また、通常は脱衣場等「温泉成分表」と共に入浴の注意等が記載されていますので、それも参考にして下さい。
  なお、温泉に入る前に体を洗うのは余りにも当然なので省略します。

@ 長時間の移動(自動車の運転及び飛行機、列車の旅)後はしばらく休憩してお風呂
  へ行く様にする。
A 温泉に入るときは、十分にかけ湯をしてお湯に体をならす。
B 入浴にはかなりなカロリーを消費しますので、お腹が減っている時の入浴は避ける。
  しかしながら、食事直後の入浴もお湯の熱によって皮膚に血液が集中してしまうので
  胃の消化に必要とする血液が廻らない場合があるので避ける。
C 飲酒直後の入浴は当然ながら、避ける。
D 入浴回数及び入浴時間は自分の体調に合わせる。
  概ねの目安は下記のとおり。
 (a) 入浴回数
  (あ)健康な人=1日2〜3回程度
  (い)高齢者・乳幼児及び体の弱い人=1日1〜2回程度  
 (b) 入浴時間
  (あ) 熱いお湯=10分程度
  (い) ぬるいお湯=20分程度
 (c) その他
    心臓の悪い人や高血圧の人はぬるいお湯に入る様にする。
    また、サウナへは入らない様にする。

入浴後は体に付いた温泉は温泉の成分が体に浸透して効果があるため、水道水等で流さないでタオル等で押さえる程度にして下さい。
  しかしながら、肌の弱い人は湯ただれをおこすことがあるので、洗い流した方が懸命です。
  そして、温泉に入った後はぐっすり眠れることでしょう。これは、最初にも記載しましたが、かなりなエネルギーを消耗しているからです。

 

 

ニセモノ温泉
 特に,最近出来た日帰温泉に多い。無色透明なアルカリ性単純泉が大部分だが,アルカリ性と言うのは,石鹸の成分と同じで,肌がツルツルになることから「美人の湯」と称される。ところが,成分表でPHが9とか書いてあっても,実際計測すると7(中性)程度だったりする。お湯で薄めているのだ。現在,ヤッポンには2800もの温泉地がある。これだけ作れる量の温泉はないにもかかわらずにである。理由はお湯を足していることなのだ!

 


いい温泉の見分け方
1.湯が浴槽の縁から溢れていること
 排水口がないこともチェック。湯が溢れているのは循環湯でない証拠。循環させてフィルターで濾過を繰り返すうちに,温泉は老化し,有効成分も消えてしまう。パイプの中で繁殖するレジオネラ菌の危険性もある。これを殺すために相当塩素を入れることになる。塩素臭がするところは循環湯である。
2.低地であること
 見晴らしの良い高地では,あまり良質の温泉は出ないそうである。谷や渓流沿いがいいらしい。
3.飲料泉であること
 循環湯のレジオネラ菌の危険性がないということでもある。レジオネラ菌が最近問題化しているが,これは昔からあったことで,それが表面化しなかっただけだと考えるべきだろう。レジオネラ菌は身体に入ると,特に抵抗力の弱いお年寄りなどは肺炎にかかる可能性がある。今までこの話は温泉業界で口に出せないタブーだったのである。もちろん,源泉であっても飲めない種類の温泉があるので注意。
4.源泉が近くにあること
 温泉街などでは源泉のパイプをチェックして,近い旅館などが望ましい。