栃木県の温泉! 茶臼岳に登る |
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高雄温泉 | 栃木県那須郡那須町那須湯本 | 日帰温泉 |
硫化水素泉,40度? | 露3(混浴) | 24時間 | 無料 | ||||||||||||||||||||
H:「高雄温泉って知ってる?」 MとHは,顔を見合わせて,ニンマリ笑った。 と言う会話が交わされたのは,遙かな過去だった。もちろん,Mは,みけねこのこと。 みけねこは,この会話を長い間忘れることはなかった...そして,夕べ,行きたい気持ちついに抑え難く,彼女に,こう宣言したのである。「明日早起きして,高雄温泉ってトコに行ってみよう! 知ってる?すごい秘湯なんだ!
そして,今日がやって来た。──秘湯。”高雄温泉”。なぜ秘湯なのか? 那須湯本温泉の温泉街を過ぎる頃,左手に大きな鳥居が現れる。那須湯本神社の鳥居だ。その手前の細い道を左折。そして,300メートルほど先の交差点 (「十石荘」の看板がある)を右折。 もちろん,高雄温泉の看板もなく,かなり分かりづらい。なんとか車同士がすれ違えるくらいの幅の狭い道(一応舗装されている)をひたすら直進する。次第に山奥っぽい雰囲気となるが,心を強く持ちながら進む (2キロ弱)と,やがて,焼け焦げた木のゲートが現れ,その奥が広い砂利の駐車場のようになっている... 武雄温泉は,別名「武雄股温泉」とも言われ,古くは「お行の湯」として神聖視された。湯貝と呼ばれる巻貝が生息するとされる。那須七湯のひとつであるが・・・ある意味有名(実際,キャンパー達がキャンプを張り,日帰り入浴者が後を絶たずに次々とやってくる)であるが,ある意味公的なガイドブックなどではまったく紹介されない無名の温泉。それは何故か。 昔,ここに一軒宿の温泉旅館があった。昭和天皇が皇太子時代に訪れたともされるので,ある程度は名のある旅館だったのだろう。ところが,十年〜何十年か前,その旅館が火事で消失してしまった。残ったのは,荒れ果てた野天の跡のみ。いつしか,地元の有志がその野天を少しずつ復旧したのである。石を組んで,温泉の川をせき止めて・・・そして,人知れず,一部の人のみが利用する無料の温泉は,次第に口コミで,広がっていった。 ここは,公的な場所でも,営業の場所でもない(もちろん,そこにだってゴミを撒き散らしてはいけないのだが,それも理解出来ない自己虫が多い)。わがままな自己虫が増殖し続けると,地元の人々の善意だって,無限ではないのだ。
駐車場となる広場は,たぶん旅館跡地であろう。30台以上は置けそうなその土と砂利の広場には,すでに7・8台の車があった。先ほどまでの雨で(今,降り止んだばかり),ドロドロとぬかっていたが,キャンプをしてるらしい若者もいる。ボクは,期待に胸ふくらませて,グフフと言いながら,パルパル号をハジッコに停めた。さて,露天はどこだろう?右手に,
やっぱり,ドロドロとぬかった道が続いている。 やがて,硫黄臭が漂ってきた。やっぱり,右の道の奥,突き当たりから,ちょっと坂を登ったところに露天を発見す。そして,蕩々と流れる小さな温泉の川・・・ボクタチは,早足で登っていく。湯船は階段状に三つあり,下から,小さな丸い露天が縦に二つ。一番上に大きな四角い露天が一つ。しかし ,(地元の有志が整備した)脱衣所の棚と脱いだ服を入れるカゴはあったが,囲いなど何もなく,まさに丸見え状態である。彼女が「イヤ〜ン」とむずかった。茂みを探したが,これも満足のいく茂みはナシ。やむなく,パルパル号を (ドロドロ凸凹に道を苦労して)近くまでもってきて,車の陰で着替えることにする。
上の広い露天に,男性4人。女性1人。真ん中の露天に,夫婦らしきカップル一組。上の露天の女性は,かなりの年輩である。スッチーだったにしても,30年以上は前に違いない。クソー。(しかも,すぐ出ちゃった)真ん中の露天の女性は,塾年であり,レースクイーンだったにしても,本田宗一郎が鈴鹿サーキットを設立した頃よりは,絶対前だろう。しかも,信じられないことに水着を着ておった・・・ まずは,上の広い露天へ。うわー。キモチイイ。30人くらいは入れる広さの透明な感じの湯には,細かい湯ノ花がいっぱい浮かんでいる。透明に見えたり,エメラルドグリーンに見えたりだ。下は,細かい砂利で,これまた気持ちいい。温度はやや温めで(40度くらいだとはされるが),冬はどうかと思うが,ゆっくり長く入っているのに良い。常連らしいオジサンが,1時間はゆっくり入っているといいと話していた。これが,ロハですぞ!アロ〜ハ〜
次に下の露天へ行ってみよう。真ん中の露天は,熟年カップルがウットリしているので,一番下の露天。一番上の湯船からの余り湯が打たせ湯のように流れてきている。真っ白な源泉の流れも混じる。こちらは,白濁した湯である (空気に触れている時間が長いせいだろうか?)。石に湯ノ花がこびりついていて,真っ白でヌルヌルだ。成分が圧縮された感じ。イイネーイイネー。彼女は,こっちの方が気に入ったみたい。 若者が二人,偵察にやってきて,また車に戻って,チャプンと入りにきた。ガテンの親方と弟子三名がやってきて,ボチョンと入る。親方は,弟子達の若々しい姿態を目を細めて眺めている。次に家族連れがやってきた。オトコノコ二人に夫婦,オバアサンだ。男の子達は,さっさと脱いで入っちゃったが,夫婦とオバアサンは,バスタオルを入れた透明なバックを持って,困ったようにウロウロしている。着替えるところがないのだ・・・長い間,茂みを探した挙げ句,あきらめちゃったみたい。お父さんは,足だけ,真ん中の露天にポチャンと入れた。足湯のつもり
らしいぞ。ペローンと脱いじゃえばいいのにね。モッタイナイ! 「さて,もう出ようか」──名残惜しい思いで,ボクタチは,武雄温泉を後にした。スッチーもレースクイーンにも出会えなかったけど (それどころか,女性の姿は,最初の老年・熟年のお二方と彼女ダケ)・・・きっと,今日はたまたま用事 (レースとか)でもあったのかもしれないや。
帰りながら,振り返ったボクの目に入ったのは,「ゴミは持ち帰ろう」と書かれた看板の下に捨てられた,いくつものポリ袋だった。(02.7.6) |